【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「……ん、ありがとう」

 そう言ってもらえると、ちょっとだけ安心する。

「もしかして、不安になったのか?」

 ずばり言い当てられて、私は何も言えなくなった。

「……そんなんじゃない。 ただ、千歳が違う人の所に行かないか心配なだけ」

 これは私の本音だ。

「そんなこと、ある訳ないだろう?」

「……分かってる。でも心配なの、千歳が」

 私は千歳に抱き着き、顔をうずめる。

「桃子の心配することなんか何もないから、大丈夫だ。安心しろ」

 千歳のことを、私は信じてる。だからこそ……裏切られたりしたくない。

「……ん、分かってる」

「やっぱり桃子には……桃子だけには、言わないとだよな」

 千歳はベッドから起き上がると、ペットボトルの水を一口口にする。その後再び、口を開く。

「……え?」

「和佳奈は……真嶋和佳奈は、俺の大学時代の元カノなんだ」

 真嶋和佳奈が、千歳の大学時代の元カノ……。
 なんとなくそんな気はしていたけど、やっぱりそうだったんだ。

「まあなんとなくは、そうなのかもって思ってたけど」

「……そうか。女ってやっぱり勘がいいものなんだな」

「そうかな。千歳が分かりやすいだけじゃない?」
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