【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜
□嫉妬と苦しい心と
嫉妬とケンカと素直な気持ち
「天音くん、お疲れ様」
「あ、室長!お疲れ様です」
三十分も残業してしまった私は、急いで会社を出るために支度していた。
「なんだ、新婚さんなのに残業だったのか?」
「はい。ちょっと急ぎの案件がありまして」
そういえば室長は、私たちの結婚を一番に祝福してくれてたな。
「そうか。まあ、忙しいのはいいことだな」
「まあ、ほどほどが一番ですけどね」
「それもそうだな。 はいよ」
室長は私に、缶コーヒーを手渡してくれる。
「あ、ありがとうございます」
缶コーヒーを受け取った私に、室長は「所で、新婚生活はどうだ? 楽しんでるか?」と聞いてくる。
「はい。まあ……ぼちぼちですけどね」
「そっかそっか。 仲良くしてるのか」
「まあ……はい」
なんか分かんないんだけど……すごい照れる。 は、恥ずかしい……。
「アイツはいいヤツだ。ずっと仲良くしとけよ、天音?」
「は、はい。……ありがとうございます」
「じゃあ、お疲れ。気引き止めて悪かったな。 加瀬によろしくな」
私は「は、はい。お疲れ様です!」と室長の背中を見送った。
「室長って……優しいな」
千歳のことを教えてくれたのも、室長だった。