【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「素直に気持ち良かったって、言えばいいのに」

「絶対言わないっ」
  
 千歳は「素直じゃねぇな」と私の頭をガシガシ撫でてくる。

「……やめて、千歳」

 千歳の腕を振り払うが、千歳は私の名前を今度は優しく呼ぶ。

「……なによ」

 どうして。どうしてそんなに、優しい声で私の名前を呼ぶの……?

「桃子、俺を好きになれよ」
 
「……え?」

 突然の言葉に、私は言葉を詰まらせる。

「お前が好きな男が、誰なのかは知らない。でも、そいつじゃなくて俺を好きになってほしい」

 なんで……なんで、そんなこと言うの? いきなりそんなこと言わないでよ……。
 ていうか……。

「どうして、私に好きな人がいるって思ったの?」

 私、好きな人がいるなんて言ってない。そもそも、好きな人なんて……。

「……違うのか?」

「違うよ。……そもそも私、好きな人なんていないよ」

 どこからそういう話になったのか、全く分からない。 なんで……?

「でもお前、北山のこと好きなんだろ?」

「だから、なんでそうなるの? 北山くんとは、ほんとになんでもないから。……ただ偶然会って、話してただけだし」

 これって千歳の勘違い、なのかな……。
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