【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜
 

「ねぇ……なんでよ」

 私に嘘ついてまで、どうして真嶋和佳奈と会ってるの……? 
 心配するようなことは何もないって、そう言ってたのに。なのになんで……?

「……ムカつく」

 結局さっきのことを思い出して、すっかり冷めてしまったお弁当も食べられなかった。
 ずっとモヤモヤしていて、ずっと心が痛い。

 まさかこんなことになるなんて思わなかった。千歳の取引相手がまさか、千歳の大学時代の元カノだったなんて。
 出来れば知りたくもなかった、そんなこと。

 元カノと再会するなんて、千歳はどう思ってたんだろう。……嬉しかったのかな。
 でも気になって、千歳に真嶋和佳奈と別れた理由を聞いてしまった。

 千歳は「色々あったんだよ、あの時は」と答えをはぐらかすだけだった。
 その理由を詳しく知らない私は、ずっとモヤモヤしたままだった。

 元カノなんて所詮、元カノだと思ってた。妻は私で、愛しているのは私だけで。
 愛されてるのも私だけ、そう思ってた。

 だからこそ私は、今すごく辛い。どうすればいいのか分からない。
 どうして今さら、元カノが現れたりしたのだろう。 どうして今さら、千歳に近付くのだろう。
 お願いだから、やめて……。
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