【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


 つわりとの戦いの日々は長く、毎日辛くて泣きそうになったこともあった。
 こんなにも辛いとか、しんどいと何回も思ってるけど……。それを毎日支えてくれるのは、やっぱり千歳だから頑張れる気がしたんだ。

 千歳が優しく抱き締めてくれること、笑って励ましてくれること。それさえも愛おしいと言ってくれるから、私は頑張れる。
 千歳のことが大好きでたまらない私は、それを支えにして今を過ごしている。

「桃子、大丈夫か?」

「ん……ちょっとだけ大丈夫」

「ちょっとだけか。 水飲むか?」

「うん……飲みたい」

 食べることがなかなか出来ないせいで、水を飲むことが精一杯ではある。
 最近は特にキウイフルーツはかり食べているせいか、酸っぱいものばかりを欲している。梅干しやレモンなども口にした。

「じゃあ豆腐食うか?」

「豆腐はいらないかな」

 なぜかことあるごとに「豆腐食べるか」と聞いてくるが、それが本気なのか冗談なのかすら分からない。
 
「じゃあキウイフルーツ食うか?」

「食べる」

 千歳は冷蔵庫を開けながら「答え早いな」と笑っていた。

「二つ食べたい」

 キウイフルーツを切ってくれるその姿を見て、ちょっと微笑ましい。
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