【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「そうだな。 俺が入れるよ」

「それは助かる」

 千歳はお茶を飲みながら「俺はパパなんでね」とドヤ顔を見せている。

「そのドヤ顔やめな」

「ドヤ顔してた?」

「してたよ」

 パパになって子育てにも協力的な夫というのはいいんだけど、たまにこうやってドヤ顔するのはどうかと思う。

「ドヤ顔がどんな顔なのか分からないな」

 と言うので「じゃあ鏡見てみな」と促す。

「遠慮しとくわ」

「なんでよ」

 でもそういうくだらない話をしてるのも、楽しいな思える。
 家族ってこういう感じなのかな?と思っていると、玄関のインターホンが鳴った。

「あ、鰻来たかな?」

「かもな」

 玄関で鰻を受け取ると、そのままリビングへと運ぶ。

「届いたよ、鰻。いいニオイする」

「よし、温かいうちに食べようか」

「うん、お茶淹れ直すね」

 お茶を淹れ直し、鰻重のフタを開けると、鰻のいい香りが漂っている。

「美味しそう……」

 鰻が輝いてる……! これはもう間違いなく最高に美味しいヤツだ。

「ほんと美味そうだな。 さ、食べよう」

「いただきます」

 こうして私たちの家族の道は、これからも長く続いていく。




【22/10/5 完結】
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