【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「ち、千歳っ!」

 仕事を定時で切り上げた私は、すぐさま千歳の元へと向かったのだった。

「桃子? どうした?」

「あのさ、一緒に帰らない?」

「……どうした?急にそんなこと言って?」

 千歳は目を丸くして私を見下ろす。

「べ、別に帰りたくないならいいけど! 私、一人で帰るし!」

「誰もそんなこと言ってねぇだろうが」

 千歳は呆れたような表情を見せてくる。

「お前、ほんとツンデレだな」

「ツンデレじゃない!」

 もう、何回ツンデレ言うのよ!

「待ってろ。カバン取ってくる」

「え?」

「一緒に帰るんだろ?」

 千歳のことがよく分からない。なんなの?

「あ、うん」

「退勤押すわ。ちょっと待ってろ」

 千歳は自分のデスクに向かうと、パソコンを操作し始める。

「……なんなの?」

 さっきまでの態度はまるで違う。嫉妬心なんてまるでないように見える。

「まさか……二重人格?」

 いやいや、そんな訳ないか。

「誰が二重人格だって?」

「ち、千歳!」

 ウソ!まさか聞かれた!?

「俺が二重人格な訳ねぇだろうが」

「……二重人格じゃないんだ」

「お前なあ……」

 もう、全然態度違うもん!
< 23 / 210 >

この作品をシェア

pagetop