【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「なっ、違っ……!」

 そ、そんなつもりないのに!

「今更離す訳、ねぇだろ」

 千歳の゙男゙の部分を見せられて、私はどぎまぎした。

「今夜は覚悟しろよ、桃子」

 私の耳元でそう呟く千歳に、私は身体が震えるくらいドキッとした。
 すごく悔しいけど、ドキッとした。 だから……。

「……やっぱムカつく」

「なんとでも言え。お前は俺の腕の中で、甘えてればいいんだよ」

「……っ、ずるいっ」 

 気付いたら、私はそのまま千歳を受け入れてしまっていた。

「千歳……」

「桃子……」

 私の名前を優しく呼ぶ千歳に、私は心なしか嬉しいと感じていた。 それがなんでなのかは、分からないけど。
 でも私の両手を優しく握る千歳の体温は、妙に心地よくて、私の身体の隅々まで熱くした。

 千歳の吐息も、千歳の体温も、私にとっては心地よくて仕方なかった。 
 それはまさに、自分が自分じゃなくなりそうだった。

「……好きって言って、千歳」

 なぜか私は、自分から好きって言ってほしいとねだってしまった。
 こんなの、私らしくない。そう思ってるのに、私の心は言うことは聞かない。 

 心も身体も、千歳の言う通りになっている。それが本当に、悔しい。
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