【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「……好きだ、桃子」

 千歳に好きだって言われると、どうしようなく心がうずくのはなぜだろう。

「俺には、お前だけだ」

「……じゃあ、絶対に離さないで」

 こうやって千歳に甘えてしまうなんて、私はどうかしている。
 
「離す訳ねぇだろ。……お前みたいなツンデレ女」

 こうやって憎まれ口を叩かれれば、確かにムカつく。私のことツンデレだってバカにするし。
 それでも、千歳のことがイヤだなんて思えないのは……。

「……なんかムカつく」

「ムカつくっていう割には、気持ち良さそうにしてるけど?」

 そうやって怪しい笑みを浮かべる千歳に、私は抗うことが出来ない。

「……うるさい」

 千歳が私のことを好きになってくれていると知ってるからこそ、私は千歳の気持ちに応えたいと思ってしまう。
 そんな私は、本当にどうしようもない。夫になる男にこうやって抱かれて、不覚にもときめいてしまう。

「ん、千歳……っ」

「桃子……っ!」

 千歳の両手を握る力が一層強くなって、私もその手をぎゅっと握り返してしまう。 千歳に抱かれるのは、あの夜以来これで二度目。
 なのに私は、こんなに千歳に抱かれることに悦(よろこ)びを感じてしまったーーー。
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