【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「なにも恥ずかしくないだろ? 俺達、夫婦になるんだし、寝癖なんて気にすることないだろ」

「……気にするよ、まだ」

 だって……まだ私たち、夫婦になってないし。

「へぇ?かわいいな、桃子」

「だから、からかわないでってば」

 千歳はおかしそうにニヤニヤと笑っている。

「お前のそういうとこ、結構好きだわ」

「……うるさいよ」

 ベッドから起き上がった私は、そのままキッチンへと向かう。

「……っ! えっ、ちょっ、なに!?」

 そんな私を後ろから抱きしめてくる千歳。

「今日は、桃子と一日一緒にいていい?」

「え?」

 そんなストレートに言われたら……こ、断れない。

「今日仕事休みだし、別にいいよな?」

「……私、今日買い物に行く予定なんだけど」
 
「じゃあ、その買い物俺も一緒に行く」

「……勝手にすれば」

 ダメって言ってもどうせ勝手に着いてくる気だろうし、もう仕方ない。

「じゃあ勝手にさせてもらう」

「はいはい」

 私は冷蔵庫からフルーツを取り出すと、そのまま果物ナイフで切っていく。

「……朝ごはん、食べる?」

「いいのか?食べて」

「いいよ、別に」

 フルーツとヨーグルトだけだけど。
< 34 / 210 >

この作品をシェア

pagetop