【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜
「なにも恥ずかしくないだろ? 俺達、夫婦になるんだし、寝癖なんて気にすることないだろ」
「……気にするよ、まだ」
だって……まだ私たち、夫婦になってないし。
「へぇ?かわいいな、桃子」
「だから、からかわないでってば」
千歳はおかしそうにニヤニヤと笑っている。
「お前のそういうとこ、結構好きだわ」
「……うるさいよ」
ベッドから起き上がった私は、そのままキッチンへと向かう。
「……っ! えっ、ちょっ、なに!?」
そんな私を後ろから抱きしめてくる千歳。
「今日は、桃子と一日一緒にいていい?」
「え?」
そんなストレートに言われたら……こ、断れない。
「今日仕事休みだし、別にいいよな?」
「……私、今日買い物に行く予定なんだけど」
「じゃあ、その買い物俺も一緒に行く」
「……勝手にすれば」
ダメって言ってもどうせ勝手に着いてくる気だろうし、もう仕方ない。
「じゃあ勝手にさせてもらう」
「はいはい」
私は冷蔵庫からフルーツを取り出すと、そのまま果物ナイフで切っていく。
「……朝ごはん、食べる?」
「いいのか?食べて」
「いいよ、別に」
フルーツとヨーグルトだけだけど。