【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「桃子、どこに行くんだよ?」

「ショッピングモールだよ。買いたいものがあるの」

「ふーん」

 千歳はポケットに手を入れながら、歩いている。

「なあ、桃子」

「なに?」

 千歳を見上げると、千歳は私に「どうせショッピングモール行くなら、結婚指輪買わないか?」と告げてくる。

「……え?」
 
 結婚……指輪?

「俺たち結婚するんだし、結婚指輪、用意しないか?」

 千歳がそんな真剣そうに見つめるから、私はつい「……別に、いいけど」と答えてしまう。

「早くお前が俺のものだって分からせてやらないと、また悪い虫が寄り付くから、退治しないとだろ?」

「悪い虫?」
 
 ま、まさかそれって……。

「もしかして……北山くんのこと言ってる?」

「ほう……勘がいいんだな」

「アンタね……」

 北山くんが悪い虫だとか、失礼でしょ!

「他にも、悪い虫はいっぱいいるからな。退治しないとな」

「誰のこと言ってるの?今度は」

 千歳はほんと、ヤキモチ妬きなんだから。

「他のヤツらのことだよ」

「別になにもないのに」

「他のヤツだって、お前のことエロい目で見てたから」

 エロい目って……どんな目よ。
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