【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「それ、絶対千歳の勘違いだから」

「いーや、間違いないって」

「……あっそ」

 こうなった千歳は、もう止められないだろうな。また私を抱くつもりだろうし。

「おい、歩くの早いだろ」

「アンタが遅いんでしょ」

 スタスタと歩く私の後を追いかける千歳は、なんだか少年みたいに見えた。

「千歳、バス乗ろう」

「バスで行くのか?」

「うん。ショッピングモール前で降りれるから」

「そうか」

 多分後五分もすれば、ショッピングモール行きのバスがやって来るだろうし。

「桃子」

 千歳はバスを待つ間、私の左手をぎゅっと握る。

「え?」

「夫婦らしく、しといた方がいいだろ?」

「……まだ夫婦じゃないじゃん」

 私たちまだ、入籍してないし。そもそも、プロポーズされたけど、私まだ親に結婚すること言ってないんだけど……!

「これからなるんだろ?夫婦に」

「って言っても、結婚の挨拶まだじゃん」
 
 私の言葉が気に食わないのか、千歳は「これから挨拶しに行くだろ?」と私を見る。

「……本当に、結婚するんだね?私たち」

「だから、プロポーズしただろ」

「突然してきたもんね、プロポーズ」

 交際すらしていないのに。
< 37 / 210 >

この作品をシェア

pagetop