【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜
「それ、絶対千歳の勘違いだから」
「いーや、間違いないって」
「……あっそ」
こうなった千歳は、もう止められないだろうな。また私を抱くつもりだろうし。
「おい、歩くの早いだろ」
「アンタが遅いんでしょ」
スタスタと歩く私の後を追いかける千歳は、なんだか少年みたいに見えた。
「千歳、バス乗ろう」
「バスで行くのか?」
「うん。ショッピングモール前で降りれるから」
「そうか」
多分後五分もすれば、ショッピングモール行きのバスがやって来るだろうし。
「桃子」
千歳はバスを待つ間、私の左手をぎゅっと握る。
「え?」
「夫婦らしく、しといた方がいいだろ?」
「……まだ夫婦じゃないじゃん」
私たちまだ、入籍してないし。そもそも、プロポーズされたけど、私まだ親に結婚すること言ってないんだけど……!
「これからなるんだろ?夫婦に」
「って言っても、結婚の挨拶まだじゃん」
私の言葉が気に食わないのか、千歳は「これから挨拶しに行くだろ?」と私を見る。
「……本当に、結婚するんだね?私たち」
「だから、プロポーズしただろ」
「突然してきたもんね、プロポーズ」
交際すらしていないのに。