【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「なっ、なんで……っ」

 二回もキスするとか……。さ、最低!

「これで分かったろ?俺の気持ち」

 千歳の気持ち……?そんなの……。

「……分かんないよ、言ってくれなきゃ」

 キスしたからって、その人の気持ちが分かるとは限らないもん……。

「千歳もしかして……ただ、キスしたいだけ?」

「はっ?」

 私はなにか変なことを聞いてしまったのか、千歳は眉間にシワを寄せている。

「千歳は……私のことなんて、興味ないでしょ」

「あのなあ……」

 千歳は呆れたような表情を見せる。

「桃子、俺は女なら誰でもいい訳じゃない」

「……そんなの、信用できないし」

 千歳のことなんて……。

「お前にだけだ。 キスするのも、こうやって抱きしめるのも、全部お前だけ」
  
 そ、そんな真剣な眼差しで見つめられたら、私……。

「……桃子」

 私の頬に触れてくる千歳のその手が、なんだかすごく優しくて……。

「ち、とせ……」

 あれ……私、どうしたんだろう?

「……逸らすな。 ちゃんと俺を見ろ、桃子」

 ゆっくりと、千歳の方に振り向かされる。

「ちゃんと、俺を見ろよ桃子」

 どうして……どうしてそんなに、真剣そうな眼差しで見つめるの?
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