【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜
「じゃあ、お疲れ」
「うん、お疲れ様……」
背を向けて去っていく北山くんの姿を遠目で見つめる私は、北山くんがどこか寂しそうにも見えた。
「……はぁ」
千歳がここまで北山くんを嫌う理由も分からないけど、多分私のことが絡んでることは想像出来る。
「あ、千歳!」
「お、桃子。お疲れ」
「お疲れ様! 今日も残業?」
「ああ、今日も残業」
そっか、じゃあ今日も一緒に帰れないんだ。ちょっと寂しい……。
「なんだ。寂しいって顔してるな」
「……別に!そんな顔、してないし」
だって千歳は私の夫だし、夫婦なのにあまり一緒にいられないって寂しいしかない。
「ほんとツンデレだな。可愛いかよ」
「か、可愛いとか言わないでよ……恥ずかしい」
照れている私の表情を見て、千歳は嬉しそうにニヤニヤと笑っている。
「桃子のそういうとこ、ほんと好きだわ」
「……ん、ありがと」
「でもツンデレな桃子が、一番好きだけど」
つ、ツンデレな私が好きって……。なにそれ!
「もう、私はツンデレじゃないってば」
「いい加減認めろよ、ツンデレだって」
「絶っ対に認めないから」
私はツンデレじゃないもん!