【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「んっんっ……やぁっ」

 私の手を握ったまま、さっきよりも激しめに責めてくる千歳に、私はますます抗うことが出来ない。
 千歳のその身体と体温に、完全にハマってしまったようだ。

 頭の中の意識を飛ばされるほど、私は千歳の身体に溺れているのが分かる。
 千歳もそれを分かっているからこそ、私をしっかりとその身体で受け止めている。

「千歳、千歳……」

 気が付いたら何度も狂いそうになるくらい、千歳の名前を呼んでいた。

「桃子……もっかい名前呼んで」

「やだっ……」

 千歳の吐息が耳にかかり、急に恥ずかしくなる。 私はこんなに千歳のことを意識しているか、そう思った。

 ベッドの上でこうやって抱き合うことになるなんて、一体誰が想像しただろうか。
 私でさえ、全く想像してなかった。 ただのムカつく同期、それだけだったのに……。

 その関係は、今日の一夜にして崩壊した。私たちはただの同期ではなくなった。
 ただの同期じゃ、いられなくなった。 こんな甘い関係になってしまったら、私はもうどうすることも出来ない。

 もう今まで通りでなんていられない。 元の関係に戻ることは出来ない。
 千歳だって、それは分かっているはずだ。
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