きっときみに...
海side
*
「お邪魔しま〜す」「お、お邪魔します」
土曜日の夕方。兄貴とともに、柚月の家にやって来た。高校で俺と柚月が再会して、兄貴と郁人さんも仲が良いので、急遽実現することになった夕食会。
「いらっしゃい。湊、久しぶりだね」
「真紘さん、お久しぶりです!」
兄貴が真紘さんと呼ぶ人は、背は兄貴と同じ180cmくらい。とても物腰の柔らかい感じの人だった。昔の記憶でも、優しくしてもらった気がする。
「こっちが海だね。柚月がお世話になってます。」
「あ、こちらこそ。」
玄関で挨拶をひと通り済ませたとき、郁人さんがタオルで濡れた髪をふきながらやって来た。
「あ、湊と海。来たのか。まぁあがれよ」
「郁、久しぶり〜!」
兄貴はハイテンションで郁人さんのところへ駆け寄る。
俺はなんとなく大人たちに囲まれ、気まずい、そう思っていたとき、
「あ、海くん!いらっしゃい」
柚月が奥からやって来た。勿論、制服ではなく私服。ふわっとしたワンピース。
「お、おぅ..」
「柚ちゃん、久しぶりだね!」
「湊くん、こんにちは。今日は来てくれてありがとうございます。」
柚月は、兄貴に敬語できちんと挨拶をしていた。
「柚ちゃん、大人っぽくなって。うちの海とは違って、良い子だな。」
兄貴はそう言って、俺の方を見ながらニヤニヤ笑った。
「ほら、喧嘩始めるなよ〜。」
郁人さんがそう言って、俺たちをリビングに押し込んだ。