きっときみに...
「 お兄ちゃん、お茶菓子出そうか?」
「うん、お願い。」
俺と兄貴がソファに隣あって座り、柚月たちが机をはさんだ向かいのソファに座る。
「柚と海くんが同じクラスになって、安心したよ。」
真紘さんが嬉しそうに言ってくれて、
「俺も、柚と同じクラスになれて嬉しいです。」
素直にそう言った。
「郁人は、いま救急とかどんな感じ?」
兄貴たちの仕事トークが始まった。俺と柚はそれを聞きつつ、ときどき話を振ってもらって答えたりしていた。柚も初めは、とても楽しそうだった。
俺も将来は医者になりたいと思っているから、兄貴たちの会話を聞くのは楽しかった。
でも、柚は段々眠そうな、少し疲れた顔をしていった。本人もまだあんまり体力がないって言ってたから、少し疲れてきたのか。
そう思っていたとき、柚月はソファの背に背をつけた。
「柚月、少し休むか?」
郁人さんがすかさず声を掛ける。
「 . . . うーん、でも...」
真紘さんも柚の手首をとって、軽く握っていた。柚月は、まだここに居たいという感じだった。
「ちょっと脈が早いね。柚月、部屋で休もう。」
真紘さんが、柚に部屋に行くよう促した。
「海くん..湊くん、せっかく来てくれたのにごめんなさい」
柚が申し訳なさそうに言った。
「俺は今日柚に会えて嬉しかった。また、なるべく病院以外で会おうな。」
兄貴はそう言って笑った。
「俺も、また学校で会えるから、気にせず休んで。」
「ありがとう...」