きっときみに...
柚は少し名残惜しそうに部屋を出て行った。
「ちょっと様子見てくるね」
真紘さんも、少しして席を立った。郁人さんは、軽く頷いた。
「柚月、学校ではどんな感じなんだ?」
郁人さんが俺に話を振った。
「女子のなかで人気者で、いや、男子からも人気ですね...」
「まぁ、柚月かわいいし、優しいからな。」
郁人さんは、サラッとそんなことを言った。
「郁人はシスコンだったっけ〜?」
兄貴がそこに突っかかる。
「そうだ。それは認める。」
郁人さんは、あまり恥ずかしがることなく言った。その様子をみて、柚は大事にされているなぁと実感した。
「でも、ときどき、ぼーっとしていて、今みたいに。そんなときは、体調あんまり良くないのかなぁって」
「そうだな。特にここ最近、頑張って学校には行ってるけど、体調万全ではないんだよな。」
やっぱり、無理してたんだ。ときどき、つらそうにしているのは見ていた。
「柚ちゃんって、持病は喘息だけ?」
兄貴も話に入ってきた。
「診断は、喘息だけだな。ただ、慢性的な貧血・低血圧なのと、少し心機能が弱いんだ。」
「そうか、心機能は経過観察か?」
「ああ。もう小さい頃からなんだが、疲れやすいんだ。だから、無理は禁物だ。」
「それはそうだな。でも、柚ちゃん真面目だから、頑張っちゃうだろ」
「そうなんだよ。まぁそれが柚月の良いところでもあるから、難しいけど。」