きっときみに...
02 休息
柚月side
4月も終わりに近づき、定期検診に来ていた。実は、今回の検診はちょっぴり不安だった。
「 それで、最近調子はどうなの〜?」
悠先生は、聴診を終えて聴診器を首にかけながら言った。
「元気...でした...」
「ふーん。」
私は、全て見透かされているような視線を向けられ、目をそらした。
「ゆずは元気だと思っているらしいけど、先生がゆずの現状について優しく解説するからよ〜く聞いてね。」
「らしいけど」というところを強調され、とても気まずい。
「まずねぇ、真紘から最近ゆずの食欲が落ちていて、寝起きも悪いって聞いているんよ。それでね、貧血が進んでてて、少し喘鳴も聞こえるんだよね。そんで、ゆずちゃん気づいてないかもしれないけど、顔色あんまり良くないんだよ。」
「はい....」
「否定しないのね。じゃあ堪忍してゆずの口から教えて。」
ここまで悠先生にバレていたら、もう誤魔化すこともできない。
「...最近、身体が怠くて...学校から帰ると疲れてお兄ちゃんたちが帰って来る20時頃まで寝ちゃって...朝が少し息苦しいときがあります...」
私が俯いて話していると、悠先生は私の頭をそっと撫でた。
「自分から言えた。偉い偉い。」
悠先生に最近の状況を言えてほっとしたせいか、診察椅子に座っているのがつらくなってきた。
悠先生は、そんな私の異変にすぐに気づいてくれて、
「ゆず、しんどいね。ちょっとそこに横になろうか。」
さっきまで、ふざけているような口調だった先生も、いまは真面目モード。
診察椅子から立ち上がったとき、目眩がしてふらついた。
「おっと...そのまま横になろう」
すかさず、先生が支えてくれて、ベッドに横になった。
「ちょっと頑張り過ぎたね。」
「なにも頑張れてないよ...最近家事もちゃんとできてないし...」
「ゆ〜ず、ゆずは高校生だから、そんなに気を遣わずにお兄ちゃんに甘えておけばいいんだよ。まぁ、頑張り屋なのはゆずの良いところだけど、無理しなくていいから。」
「今日は真紘か郁人と帰った方がいいと思うから、連絡してくるよ。寝ててもいいから休んで待ってて。」
そう言って、悠先生は部屋を出て行った。