きっときみに...
〜廊下にて〜
「 あ、郁人。俺だけど」
悠は、ポケットからPHSを取り出し、郁人へ連絡していた。
『悠さん、お疲れ様です。』
「いまゆずの診察終わったんよ。都合良いタイミングで来て欲しいんだけど、どう?」
『大丈夫です、ちょうど仕事終わったので。今から10分くらいで向かいます。』
「うん、じゃあ処置室で待ってるから」
*
「ん、ゆず寝れない?」
悠先生が戻ってきた。先生が出て行ってからぼーっとしていた。
「ううん、ちょっとぼーっとしてた。」
「郁人、夜勤あがりで来てくれるから。」
あぁ...またお兄ちゃんに迷惑かけちゃった。お兄ちゃん疲れているはずなのに...
「ゆず、今日はちょっと気分ブルーなの?」
「.... ちょっと疲れたからかな。」
「今日は何も考えずに、ゆっくり休んで。喘息の薬もいつもより少し強いから、朝まで寝れると思う。」
「うん....」
それから少しして郁にぃが部屋にやって来た。
「悠先生、ありがとうございました。柚月、大丈夫か?」
お兄ちゃんは、私が横になっているベッドの側にしゃがんだ。
「ちょっと疲れちゃった。」
「そうか。家帰って休もうか。」
「うん」
私は頷いて、帰るために起き上がった途端、くらっとした。
「ゆずきっ」
そばにいたお兄ちゃんが身体を支えてくれたけど、目眩が酷くて吐き気がした。
「ゆず、吐きそうかな」
悠先生が口元に手を当てた私をみてすぐに袋を準備して渡してくれた。
「オエッ......」
「大丈夫だからな。つらいよな。」
お兄ちゃんが、私の背中を擦りながら一緒に袋をもってくれた。