きっときみに...
少しして吐き気はおさまったけど、座っているのがつらくて、お兄ちゃんにもたれかかった。
「吐き気は落ち着いたか。」
お兄ちゃんが、袋を一旦私の口元から外した。悠先生は、私にコップと洗面器を用意してくれた。
「うがい、しとこうか」
私がうがいを終えると、
「郁人、熱が高かったり、喘息とか出たらまた連れてきて。」
「分かりました」
「ゆずは、しっかり休んで早く元気になること。」
「はーい」
*
帰るとき、歩いて駐車場まで行けると思ったけれど、吐いてしまって体力が落ちてふらふらだったので、車椅子で移動になった。
「郁人に抱えてほしかった?」
玄関までついてきてくれた悠先生がいたずらっぽく笑った。
「そんなことしたらお兄ちゃんが疲れるから。ただでさえ、夜勤明けで大変なのに。」
私がそう言ったけど、お兄ちゃんは
「別に、柚月抱えるくらいの力は残ってるぞ。」
こう言って、余裕そうな表情をした。
「だって、ゆず。もっと郁人に甘えてもいいのに」
「うーん....じゃあまた、今度お願いします」