きっときみに...
郁人side
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柚月を寝かせ、電気を消して部屋を出る。嘔吐のせいで、体力が削られたのかぐったりとしていて、すぐに眠ってしまった。
ここ最近、少しずつ柚月の体調は下り坂気味だ。本人はなんともなさそうにするけれど、幼い頃から柚月を知っている俺らからしたら分かる。
小学校の頃は、喘息がいまよりも酷くて発作も頻繁でその度に入退院を繰り返していた。
その頃よりは落ち着いているけれど、いまでも柚月の身体は無理を許さない。
俺らはそんな柚月が心配で、最初は兄貴と三人で暮らしていけるのか心配だった。でも、できれば柚月を両親や親戚から離したかった。
柚月に負担になることは極力減らしてやりたい。
それはいまも同じで、高校もこれから忙しくなるだろう。勿論、高校生活は楽しんで欲しいけれど、体調優先だ。
それは、きっと柚月のためっていうこともあるけれど、俺らが柚月のつらそうなところを見たくないっていう我儘でもある。
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俺は、夕飯頃まで部屋で休んでいた。目が覚めたときには、すでに日は落ちていた。
リビングへ行くとまだ電気はついていなかった。真紘はまだ帰っていないのだろう。
柚月はどうしているだろうと思い、部屋に向かった。