きっときみに...

 ・


 「 はい、じゃあ昨日まで休んでた今井に自己紹介してもらおう。今井、前へ」




 私は、3日遅れで1年A組の仲間入りをした。百花も同じクラスで一安心だった。




 みんな私の自己紹介を聞いてくれて、ホームルーム後はたくさん話しかけてくれた。



 

 私は一安心して、1限目の数学の用意を始めた。授業は今日から始まるので、授業においていかれずに済んだ。




 



 授業が始まると、オリエンテーションとして一年間の流れの説明があった。




 そして、少し時間が余ったので新学期ということで、先生は隣同士と自己紹介タイムを設けた。




 「じゃあ、隣のやつと適当に自己紹介しておけ。」



 私は、隣の男の子の方を向いた。



「あの、今井 柚月です。よろしく、お願いします...」




 私は今朝も自己紹介したばかりだから知っているだろうと思い、少し気まずかった。



「おれ、 サノ カイ。 なんだけど、覚えてねーか?」



 「 ん?」



 全く知らない人だと思っていたので、覚えていないかと言われて驚いた。



 
 さの...かい.....





 かい........ あっ!



 「もしかして、海くん?」



 「そうだよ。」



 海くんはそう言って、少しほっとしたような笑みを浮かべた。




 海くんは、私のお兄ちゃんの友達の弟で、小さい頃家に遊びに来てくれていた。けれど、ここ数年会ってなかった。




 言われてみれば、昔の海くんの面影があった。ツンとしたクールな雰囲気なんだけど、実はとっても優しい。





 「うわぁ...久しぶりだね!」

 「あぁ。」


 
 「ゆず、体調大丈夫なのか?」


 「うん!」



 私は勢いで返事をしたけれど、、




 「嘘つけ。顔色あんまり良くないし、昨日まで休んでただろ。」


 「あはは...」



 痛いところを突かれた。けれど、海くんとの再会で、少し元気になった。
 

 
 
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