きっときみに...


 キーンコーンカーンコーン




 4限目が終わり、お昼休みになった。



 私は、疲れからか少し目眩がして机に伏せた。やっぱり体力ないな....




 先週まで喘息で入院していたから当然と言えば当然だった。春は喘息が酷くなりやすくて、その度に体力を奪われる。




 「 ゆず、大丈夫?」



 百花や他のクラスメイトが心配して声を掛けてくれた。私は申し訳なくなり、顔をあげて「大丈夫」と笑った。



 「ゆず、お昼の間、保健室で休んだら?」


 「うーん....そうしようかな」



 別に教室でも良かったけれど、周りに気を遣わせてしまうし、保健室に行くことにした。


 



 
 「失礼します.....」



 クラクラするのをなんとか堪えて、保健室に辿りついた。



 「あら、ゆずちゃん。」



 保健室には、顔馴染みの南先生がいた。中等部に一昨年までいた先生だった。



 「南先生.....ちょっと目眩がするので休ませてもらっていいですか?」


 「勿論、早く横になった方がいいわ」



 南先生はすぐに私の背中を支え、ベッドに案内してくれた。



 「久しぶりね。色々話したいところだけど、いま目眩以外につらいところはある?」


 「少し怠いだけです....」



 私は目を瞑った。天井がぐるぐるとし始めた。




 「全然少しって感じじゃないけどね。ちょっと熱測ろうか。」




 先生はそう言って、私の脇に体温計を挟んだ。




 「気持ち悪くない?」


 「まだ....大丈夫です」


 「まだ、ね。」



 先生は苦笑いしていたようだった。



 「ビニール袋、ここへ置いておくから。」


 ベッド脇に先生がビニールを置いてくれた。


 「ありがとう..ございます」





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