僕の愛おしき憑かれた彼女
第3章 嘘吐き
あれから砂月が、特に憑かれることもなく、
あっと言う間に時は過ぎ去り、夏休みに入る頃だった。
「え?何のことっすか?」
「夏休み終わりの合宿のことだ!何故だ!二年も三年も来ない上にお前らまでっ!」
朝から、谷口先輩の荒い鼻息と共に、唾が降ってくる。
「谷口先輩、その件はさっき欠席でと、お伝えしましたよね?」
ピンクの苺ミルクの紙パック片手に愛子が、口を挟んだ。隣には、砂月が愛子の腕に捕まっている。
「愛子ちゃん、私、……」
「砂月、さっきも話したでしょ?今回はね……」
「なぁ、愛子どういうこと?」
駿介が、机に寝そべったまま、愛子に訊ねる。
「まだ先だけど八月末に、陸上部恒例の合宿があるんだけど……。場所は、例年近くのキャンプ場に一泊二日。体力アップの基礎トレーニングがメインで、夜は川の水を使ったカレー作り。テント張って雑魚寝。夜は真っ暗。キャンプ場には墓地も隣接してる」
(川といえば水難事故……墓地といえば言わずもがなオバケ……)
「なるほどね、俺と砂月パスで」
「彰!何故だ!一緒にカレーを食べて山をかけぬけ、寝床を共にしよう!」
「いや、無理っす」
寝床って……。谷口先輩に、軽く頭を下げる俺を横目で見ながら、砂月が、何か言いたげにしているのが分かったが、俺はわからないフリをした。キャンプ場なんて、何に取り憑かれるかわかったもんじゃない。絶対だめだ。
あっと言う間に時は過ぎ去り、夏休みに入る頃だった。
「え?何のことっすか?」
「夏休み終わりの合宿のことだ!何故だ!二年も三年も来ない上にお前らまでっ!」
朝から、谷口先輩の荒い鼻息と共に、唾が降ってくる。
「谷口先輩、その件はさっき欠席でと、お伝えしましたよね?」
ピンクの苺ミルクの紙パック片手に愛子が、口を挟んだ。隣には、砂月が愛子の腕に捕まっている。
「愛子ちゃん、私、……」
「砂月、さっきも話したでしょ?今回はね……」
「なぁ、愛子どういうこと?」
駿介が、机に寝そべったまま、愛子に訊ねる。
「まだ先だけど八月末に、陸上部恒例の合宿があるんだけど……。場所は、例年近くのキャンプ場に一泊二日。体力アップの基礎トレーニングがメインで、夜は川の水を使ったカレー作り。テント張って雑魚寝。夜は真っ暗。キャンプ場には墓地も隣接してる」
(川といえば水難事故……墓地といえば言わずもがなオバケ……)
「なるほどね、俺と砂月パスで」
「彰!何故だ!一緒にカレーを食べて山をかけぬけ、寝床を共にしよう!」
「いや、無理っす」
寝床って……。谷口先輩に、軽く頭を下げる俺を横目で見ながら、砂月が、何か言いたげにしているのが分かったが、俺はわからないフリをした。キャンプ場なんて、何に取り憑かれるかわかったもんじゃない。絶対だめだ。