虜にさせてみて?
どさくさまぎれにアイスコーヒー飲んでいた。

「氷入れたら?」

「別にいい。少しだけ、喉が乾いただけだから」

もしかしたら落ち着かないのかも?

何に対して? 御両親に対してかもしれない。

聞かないけれど、気になって仕方ないよ。私は響を何も知らない。

過去は気にしない事にしたのに、家族の事も聞かないと思っているのに知りたくて欲が出る。

好きだから全てを知っておきたいけれど、それは響にとってはタブーでしかない。

いつか、心を開いてくれる日が来るまで待つしかないのかな?

――昼間のラウンジの営業が終わり、レストランを手伝った後に響はいつもより早く上がった。

御両親も夕食を取られた後だから、部屋で話しているのかな?

響が上がった後に私も上がって今は部屋の中。

お風呂も入って、響からの着信があるまでは一休み。

布団でゴロゴロしていたら、いつの間にかウトウトしていた。

瞼が閉じてから、あまり立たないウチに”カツンッ”と窓に何かがあたる音がした。

眠気も吹き飛び、跳び起きた。

何、何の音?

恐る恐るカーテンを開けて外を見ると、そこには響が居た。

「な、何してるの?」

「早く降りて来いよ、星が綺麗だぞ」
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