君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
「じゃああなたは好きでもない人と結婚しなければいけないんですね」
彼の気持ちを思うとやるせなかった。
「好きでもないのは問題ない。というと語弊があるが、今まで誰にも心を動かされたことはなくてね。どの女性と結婚しても俺にとっては同じだろう」
「えっ」
「人を愛せない冷たい人間だって思うか?」
私はかぶりを振る。
「いいえ。私も恋をしたことがないからそんなふうには思いません」
母の看病で恋愛どころではなかったのだ。
「君も?」
「はい。二十一年間、彼氏もいません」
「そうなのか」
「でもきっと私もあなたも人を愛せないわけじゃないです。まだ運命の人に出会えてないだけですよ」
「だといいが」
彼は反応に困ったような笑みを浮かべた。
「それで、どの女性と結婚してもあなたにとっては同じなら、その娘さんと結婚しても大丈夫ですよね?」
「いや……さすがに母を裏切った女の娘というのは大問題だろう」
彼はいったいなにを言い出すのかというような怪訝な表情をした。
「たしかに感情面で引っかかるとは思いますが、その娘さんは彼女のお母さんとは別人格で、娘さんに罪はありません」
「それはそうだが……」
彼の気持ちを思うとやるせなかった。
「好きでもないのは問題ない。というと語弊があるが、今まで誰にも心を動かされたことはなくてね。どの女性と結婚しても俺にとっては同じだろう」
「えっ」
「人を愛せない冷たい人間だって思うか?」
私はかぶりを振る。
「いいえ。私も恋をしたことがないからそんなふうには思いません」
母の看病で恋愛どころではなかったのだ。
「君も?」
「はい。二十一年間、彼氏もいません」
「そうなのか」
「でもきっと私もあなたも人を愛せないわけじゃないです。まだ運命の人に出会えてないだけですよ」
「だといいが」
彼は反応に困ったような笑みを浮かべた。
「それで、どの女性と結婚してもあなたにとっては同じなら、その娘さんと結婚しても大丈夫ですよね?」
「いや……さすがに母を裏切った女の娘というのは大問題だろう」
彼はいったいなにを言い出すのかというような怪訝な表情をした。
「たしかに感情面で引っかかるとは思いますが、その娘さんは彼女のお母さんとは別人格で、娘さんに罪はありません」
「それはそうだが……」