君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
息継ぎの合間にか細い声で訴えた。

胸の鼓動が騒がしくて、取り乱してしまいそうだ。

「みちるが呼んでほしいと言ったんだろ?」

私の未熟な反応を、郁人さんはクスクス笑った。

「そうだけど……」

指で頬をくすぐる彼を恨めしげな目で見上げながら、私はもごもごと言いよどむ。

だって郁人さん、いきなり全力で呼ぶんだもの。

「あ……っ」

服の内側に大きな手が入ってきて、なまめかしく肌を這う。

胸を揉み上げられると体が甘い熱を帯び、はしたない声がこぼれ出そうになった。

ぎゅっと閉じた足の狭間に指先が忍び込んでくる。

「や……」

「俺に全部見せて」

色っぽい声で誘われて両膝を開かれた。

下着越しにそっと撫で上げられ、探り当てられる。

「あっ、や……、あぁっ……」

いつの間にか身につけていたものをすべて剥ぎ取られた私は、彼の愛撫に何度も目の前が白く弾け飛び、息を喘がせた。

「んっ……郁人さっ……」

服を脱ぎ捨てる彼の姿が情欲的で、ゾクゾクする。

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