君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
桐嶋のおじさまとは、母の親友だった桐嶋絢子(あやこ)さんの夫で、桐嶋ホールディングスという大企業の社長だ。
絢子さんは五年前に不慮の事故で母よりも先に亡くなっていたけれど、その後も母と桐嶋のおじさまは交流があり、私も彼と何度か顔を合わせたことがあった。
桐嶋のおじさまは、まるで自分の家族のように母の死を悼んでくれた。
そして母の葬儀を執り行ってくれただけでなく、彼の一族が眠る寺院に母のお墓も建立してくれたのだ。
『絢子も親友の泰世(やすよ)さんがそばにいてくれると喜ぶから』と言われ、最初はそこまでお世話になれないと固辞したけれど、ありがたく恩を受けた。泰世さんとは母のことで、絢子さんとは唯一無二の親友だったのだ。
さらに私が仕事を探しているのを知った桐嶋のおじさまは、『みちるちゃんの今後の生活の面倒を見るから屋敷においで』と声をかけてくれた。
彼はとても広いお屋敷に住んでいるから、住み込みのお手伝いさんとして雇ってくれるという意味だろう。
母の看病のため、高校卒業後も時間の融通が利くアルバイトの経験しかなかった私には願ってもない話だった。
彼のもとで働いて少しでも恩返しできたらいいなと思い、身を寄せることにした。母がつないでくれた縁だった。
絢子さんは五年前に不慮の事故で母よりも先に亡くなっていたけれど、その後も母と桐嶋のおじさまは交流があり、私も彼と何度か顔を合わせたことがあった。
桐嶋のおじさまは、まるで自分の家族のように母の死を悼んでくれた。
そして母の葬儀を執り行ってくれただけでなく、彼の一族が眠る寺院に母のお墓も建立してくれたのだ。
『絢子も親友の泰世(やすよ)さんがそばにいてくれると喜ぶから』と言われ、最初はそこまでお世話になれないと固辞したけれど、ありがたく恩を受けた。泰世さんとは母のことで、絢子さんとは唯一無二の親友だったのだ。
さらに私が仕事を探しているのを知った桐嶋のおじさまは、『みちるちゃんの今後の生活の面倒を見るから屋敷においで』と声をかけてくれた。
彼はとても広いお屋敷に住んでいるから、住み込みのお手伝いさんとして雇ってくれるという意味だろう。
母の看病のため、高校卒業後も時間の融通が利くアルバイトの経験しかなかった私には願ってもない話だった。
彼のもとで働いて少しでも恩返しできたらいいなと思い、身を寄せることにした。母がつないでくれた縁だった。