君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
「兄さん、すごい顔。みちるちゃんに触ったからってヤキモチ焼かないでよ」
郁人さんは不機嫌な様子を隠そうともせず、私は気が気ではなくなった。
私が真紘さんを誑かそうとしていたと、また勘違いされてしまったのだろうか。
「はは、家族なんだからヤキモチもなにもないだろう。なあ郁人」
お義父さまは笑い飛ばした。
「疲れたので離れに戻って休みます」
郁人さんはお義父さまの言葉に同意せず、それだけ口にして踵を返した。
リビングに取り残された私たちは、その場に立ち尽くしてしまう。
「なんだ、郁人は愛想がないな。子どもの頃はよく笑う子だったのに」
お義父さまは眉を跳ね上げた。
「私も離れに戻ります。真紘さん、いろいろありがとうございました」
「どういたしまして。ワルツの続きは兄さんに教えてもらってね」
「はい」
ぺこっと頭を下げて、小走りで母屋を出た。
すでに庭には郁人さんの姿はなく、私が離れに着いたときにはバスルームからシャワーの音がした。
少しでも早く弁明したかったのに、機を逃してしまったようだ。
郁人さんは私と顔を合わせずに二階に上がってしまう。
郁人さんは不機嫌な様子を隠そうともせず、私は気が気ではなくなった。
私が真紘さんを誑かそうとしていたと、また勘違いされてしまったのだろうか。
「はは、家族なんだからヤキモチもなにもないだろう。なあ郁人」
お義父さまは笑い飛ばした。
「疲れたので離れに戻って休みます」
郁人さんはお義父さまの言葉に同意せず、それだけ口にして踵を返した。
リビングに取り残された私たちは、その場に立ち尽くしてしまう。
「なんだ、郁人は愛想がないな。子どもの頃はよく笑う子だったのに」
お義父さまは眉を跳ね上げた。
「私も離れに戻ります。真紘さん、いろいろありがとうございました」
「どういたしまして。ワルツの続きは兄さんに教えてもらってね」
「はい」
ぺこっと頭を下げて、小走りで母屋を出た。
すでに庭には郁人さんの姿はなく、私が離れに着いたときにはバスルームからシャワーの音がした。
少しでも早く弁明したかったのに、機を逃してしまったようだ。
郁人さんは私と顔を合わせずに二階に上がってしまう。