君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
避けるようなその態度に、ちょっと心が折れかけたけれど、私も手早くお風呂を済ませると、郁人さんを追って寝室に向かった。
聞き入れてもらえなくても、きちんと事実を伝えなければ。
私の言葉が届かないからといって、なにも言わなくていいというわけじゃない。
彼はもうベッドで横になっていたけれど、まだ眠ってはいないようだった。
「郁人さん、さっきのは本当に社交ダンスを教えてもらっていただけなんです。真紘さんを誑かそうとしたんじゃありません」
「え?」
歩み寄って率直に告げると、彼は虚を衝かれたような顔をした。まるで考えも及ばなかったことを耳にしたような表情だ。
「え……私を疑っているんじゃないんですか?」
もしかして本当に疲れていて、早々に離れに戻っただけだったのだろうか。
私のほうが疑心暗鬼になりすぎていた?
「……そうだな」
彼は肯定とも否定とも取れない返事をした。
どう話を続ければいいのかわからず、困ってしまう。
「あっ」
そのときいきなり頭がクラッと来て、私はその場に座り込んだ。
「どうした?」
郁人さんは起き上がり、ベッドを下りて私の背中に手を回す。
聞き入れてもらえなくても、きちんと事実を伝えなければ。
私の言葉が届かないからといって、なにも言わなくていいというわけじゃない。
彼はもうベッドで横になっていたけれど、まだ眠ってはいないようだった。
「郁人さん、さっきのは本当に社交ダンスを教えてもらっていただけなんです。真紘さんを誑かそうとしたんじゃありません」
「え?」
歩み寄って率直に告げると、彼は虚を衝かれたような顔をした。まるで考えも及ばなかったことを耳にしたような表情だ。
「え……私を疑っているんじゃないんですか?」
もしかして本当に疲れていて、早々に離れに戻っただけだったのだろうか。
私のほうが疑心暗鬼になりすぎていた?
「……そうだな」
彼は肯定とも否定とも取れない返事をした。
どう話を続ければいいのかわからず、困ってしまう。
「あっ」
そのときいきなり頭がクラッと来て、私はその場に座り込んだ。
「どうした?」
郁人さんは起き上がり、ベッドを下りて私の背中に手を回す。