君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
明かされた真実
数日後のある日、郁人さんが二泊三日で出張に行くのが決まり、初めて離れの留守を預かることになった。

少し不安もあるけれど、佐藤さんもいてくれるし、きっとあっという間に過ぎるだろう。

「帰ってきたら話があるんだ」

出がけに郁人さんに告げられた。

なんの話か想像すらつかず、ちょっと身構えてしまう。

「はい、わかりました」

返事をしながらも、無意識のうちに眉間にしわを寄せていたらしく、長い指でツンとつつかれる。

「あ」

「渋い顔になっているぞ」

郁人さんの柔らかい表情から、悪い話ではないのは汲み取れた。

さりげなく顔に触られたのが照れくさい。

「行ってくる」

「……行ってらっしゃいませ。お気をつけて」

もう誤解は解けたし、なにも心配はいらないのだ。

彼の帰宅を楽しみに待とう。


そう思っていた翌日の夕方。

離れに真紘さんから電話がかかって来た。

「はい、みちるです」

晩ごはんの時間にはまだ早いしどうしたのだろう。

『みちるちゃん、今すぐ母屋に来られる?』

「はい、大丈夫です」

『藤間家の史乃さんが来てるんだ。俺とみちるちゃんに用があるんだって』

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