君を愛せないと言った冷徹御曹司は、かりそめ妻に秘めた恋情を刻む
「史乃さんですか?」
彼女に会ったのはたった一度きり、あのカクテルパーティーの日だけだった。それなのにわざわざ桐嶋家までやって来るなんて、いったいどういった用件だろう。
すぐに支度をして母屋に向かうと、佐藤さんが応接室へ案内してくれた。
室内のソファには、真紘さんと史乃さんが対面して座っている。
「みちるちゃんはこっち」
真紘さんに隣を促された。
「本日でしたら郁人さんが出張でいらっしゃらないとお聞きしたので、よい機会かと思いましたの」
私が席に着くと、史乃さんは早速そう切り出した。
怪訝な表情をした真紘さんを尻目に、史乃さんは私を見つめる。
「郁人さんから聞きましたわ。みちるさんのお母さまは、郁人さんや真紘さんのお父さまとお付き合いされていたのですってね」
「え……?」
一瞬で頭の中が真っ白になった。
郁人さんは真紘さんにさえ話すつもりはないと言っていたのに、まさか史乃さんに暴露したなんて。
それにその件については、海で『君を信じる』と言ってくれたはずだった。
「一応は郁人さんや真紘さんのお母さまが亡くなってからなのですって?」
彼女に会ったのはたった一度きり、あのカクテルパーティーの日だけだった。それなのにわざわざ桐嶋家までやって来るなんて、いったいどういった用件だろう。
すぐに支度をして母屋に向かうと、佐藤さんが応接室へ案内してくれた。
室内のソファには、真紘さんと史乃さんが対面して座っている。
「みちるちゃんはこっち」
真紘さんに隣を促された。
「本日でしたら郁人さんが出張でいらっしゃらないとお聞きしたので、よい機会かと思いましたの」
私が席に着くと、史乃さんは早速そう切り出した。
怪訝な表情をした真紘さんを尻目に、史乃さんは私を見つめる。
「郁人さんから聞きましたわ。みちるさんのお母さまは、郁人さんや真紘さんのお父さまとお付き合いされていたのですってね」
「え……?」
一瞬で頭の中が真っ白になった。
郁人さんは真紘さんにさえ話すつもりはないと言っていたのに、まさか史乃さんに暴露したなんて。
それにその件については、海で『君を信じる』と言ってくれたはずだった。
「一応は郁人さんや真紘さんのお母さまが亡くなってからなのですって?」