朝の光をあなたと感じて
恋に落ちた
風で乱れた髪を片手で、ササッと直す。
タッタッタッ……
走る足音が前から近付いてきた。私は顔を引き締めて、リードを握る手に力を込める。
来た!
今日もかっこいい!
三か月くらい前から、ほぼ同じ時間にすれ違うジョギングする彼に私は胸をときめかせている。
朝の光の中で颯爽と走り抜けていく長身の彼にチラッと視線を向ける。
あ、わっ……目が合っちゃった。
思わず進む足を止めると、リードの先で柴犬のルルが苦しげな声を出す。
その声に反応したのか、彼の動きも止まり、私とルルを見た。
どうしよう、不審に思われたよね?
何食わぬ顔で散歩を続けないと……。
ルルがクゥンと小さく鳴くと、彼は口を開いた。
「君の犬、かわいいね」
「あ、ありがとうございます」
「いつも楽しそうに尻尾振っているよね。今は止まってるけど」
彼は柔和な笑みを浮かべて、腰を屈めた。もしかしたら、犬好きの人なのかも。
「あ、あの! 触ってもいいですよ」
「ほんと? ありがとう。ほら、おいで」
ルルは彼の伸ばした手に鼻先をくっつけて、匂いを確認する。警戒しながらも自分から頭を寄せていった。
タッタッタッ……
走る足音が前から近付いてきた。私は顔を引き締めて、リードを握る手に力を込める。
来た!
今日もかっこいい!
三か月くらい前から、ほぼ同じ時間にすれ違うジョギングする彼に私は胸をときめかせている。
朝の光の中で颯爽と走り抜けていく長身の彼にチラッと視線を向ける。
あ、わっ……目が合っちゃった。
思わず進む足を止めると、リードの先で柴犬のルルが苦しげな声を出す。
その声に反応したのか、彼の動きも止まり、私とルルを見た。
どうしよう、不審に思われたよね?
何食わぬ顔で散歩を続けないと……。
ルルがクゥンと小さく鳴くと、彼は口を開いた。
「君の犬、かわいいね」
「あ、ありがとうございます」
「いつも楽しそうに尻尾振っているよね。今は止まってるけど」
彼は柔和な笑みを浮かべて、腰を屈めた。もしかしたら、犬好きの人なのかも。
「あ、あの! 触ってもいいですよ」
「ほんと? ありがとう。ほら、おいで」
ルルは彼の伸ばした手に鼻先をくっつけて、匂いを確認する。警戒しながらも自分から頭を寄せていった。
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