朝の光をあなたと感じて
同じ気持ちを彼の方から先に言われた。

「私もです!」

だから、張りきって返事をした。

「元気だね。凛花から一週間の始まりに力をもらえた。頑張ろうと思えるよ」

「そんなすごい力はないけど、私も永井さんに会えて、テンションあがりました」

「永井さんかー」

「あ、ごめんなさい。また馴れ馴れしかったですよね」

「いや、そう意味じゃなくて、逆だよ」

何がどう逆なんだろう?

不思議に思っていると、彼が言葉を続けた。

「永井さんと呼ばれると、距離を感じるから、下の名前で呼んでくれないかな?」

「下の名前ですか? でも、下の名前を知らないですけど」

「そういえば、そうだね。ちゃんと名乗ってなかった。永井純也(じゅんや)だよ」

漢字でどう書くのかも教えてもらい、「純也さん」と声に出してみた。

私の苗字も聞かれたので、飯島(いいじま)と答える。お互い知らないことがたくさんある。

いろいろと知りたいが、どこまで知ってもいいのだろう。朝、たまに顔を合わせるだけの関係なのに。

「あー、今日も時間ないね。話し足りないけど、また明日ね」
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