朝の光をあなたと感じて
朝は忙しい。長々と話している暇はない。名残惜しいけれど、仕方ない。

今日も爽やかな笑顔で去っていく純也さんを見送った。

少しずつ近付いているが、本当に少しずつだ。

朝の短い時間の会話だけでは、何もできない。連絡先を知れたら、別の場所で会う約束もできるかもしれない。

でも、もっと会いたいと思うのは私だけかも。

でもでも、がんばってみよう。応じてくれるかもしれないもの。


淡い期待を抱いて、翌日純也さんの前でスマホを出した。彼も同じことを思っていたとすんなりスマホを出して、連絡先を交換した。

「これで、いつでも話ができるね。ところで凛花、来月オープンするショッピングタウンの中に観覧車もできるの知ってる?」

「はい、知ってます」

「その観覧車のプレオープンでペアチケットを貰ったんだけど、一緒に行かない?」

「観覧車に、一緒に?」

何を誘われたのか咄嗟に理解できなくなり、言われたことを繰り返す。

純也さんは苦笑した。
< 13 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop