朝の光をあなたと感じて
聞こえてくる純也さんの心臓の音は、私と同じくらいの速度だった。大人でもドキドキするんだ。

嬉しくなって、「フフッ」と笑い声が漏れた。

「なんか楽しそうだね」

「楽しいというか、嬉しいんです」

「そうか、俺もすごく嬉しいよ」

彼は私の頭を何度も撫でた。

ゆっくりと顔をあげると、彼の大きな手が私の後頭部を支えた。

接近してくる整った顔をじっと見る。

かなり顔を寄せた彼は困ったように笑う。

「目を閉じて」

「はい……」

ふんわりと優しいキスが落ちてきた。

あたたかくて、気持ちがいい。

彼はキスしたあと、ギュッと抱きしめた。私も腕を回す。

ずっとこのままでいたかったけど、地上に戻ってきた。

「ありがとうございました」というスタッフの声が聞こえて、私たちは慌てて離れた。

気恥ずかしくなったが、好きな人と心が一つになれたのが嬉しくて、その後しばらく足もとがふわふわしていた。

しかし、ラグジュアリーホテルの駐車場で車から降りるのに私の足は震えた。

食事場所は純也さんに任せていたけれど、こんな高級なところに来るとは想定外だ。
< 18 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop