朝の光をあなたと感じて
「凛花、行くよ」

「あの、ここでご飯を食べるんですか? 私、こんな服ですけど」

一応大人な純也さんと並んでもおかしくないようにとシフォン素材のワンピースを着てきた。

でも、靴はぺったんこのバレエシューズだし、鞄は布のトートバッグだ。

「俺もラフな服だし、わりとカジュアルなレストランでドレスコードはないから安心して」

言われてみれば、純也さんの服装はカジュアルな方だとは思う。

紺色のVネックTシャツに、ベージュ色のチノパンツを穿き、黒色のジャケットを羽織っている。

それでも、安心できません……。

まだ動けずにいる私の手を彼が引く。

「予約時間になるから、行くよ」

予約までしてあるとは、さすがだ。

ここで行かないと断ったら、きっとキャンセル料が発生して、もったいないことになる。

意を決して、純也さんと進んだ。

天井の高いレストランは広々していて、大きな窓からはライトアップされた素敵な庭園を眺めることができた。

私たちは窓際の席に案内される。

白いテーブルクロスや並べられているカトラリーが輝いていた。

緊張で震える手を膝の上で重ねて、姿勢を正す。
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