朝の光をあなたと感じて
「ルルー」

前からやってくるルルと母に手を振る。私が家を出たので、ルルの散歩は両親の役目となった。

平日は母で、土日は父がおこなっている。

「凛花、純也くん、おはよう」

「お母さん、おはよう」

「おはようございます」

最初の頃はルルに付いていくのに息を切らせていた母だが、だいぶ慣れたようだ。

「そうそう、来週お父さんの誕生日会やるけど、来れる?」

「うん、もちろん行くよ。ね、純也さん」

純也さんはルルを撫でながら、「うん」と笑顔で答えた。

両親は私たちが結婚するまでも、結婚してからもずっと見守ってくれている。

純也さんは去年のクリスマスにプロポーズしてくれた。両親の前でも「凛花さんと幸せになります」と誓ってくれた。

私たちは小さな喧嘩をすることはあったが、すぐ仲直りをしたし、いつもお互いを求めあった。

だが、それぞれ仕事や学校があったので、会えない日もあった。

数日会えないだけでも寂しくて、それを解消する一番良い方法が結婚だった。

結婚式前日に父から「実は半信半疑だった」と私たちの交際を認めたときの心境を聞かされた。

もし約束が果たされなく、私が大泣きしたら、人生そういうにともあると慰めるつもりでいたそうだ。
< 30 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop