朝の光をあなたと感じて
だから、無事結婚することになってホッとしたと言った。本当に両親を安心させることができ、良かった。


私たちは毎日同じベッドで目覚めて、同じベッドで眠る。

仕事をしている時間は顔が見れないけれど、仕事を終えて家に帰るのに足取りが軽くなるのだ。

普通は疲れて重くなると言うのだが、彼のもとに帰れるというワクワク感を味わっている。

この話をすると、新婚さんはいいねと誰もが羨ましがる。

ジョギングから戻り、シャワーで汗を流した後、ワイシャツのボタンを止めながら、純也さんが聞いた。

「凛花、今日は何時帰り?」

「二十時だよ」

「じゃあ、迎えに行くよ」

「ありがとう」

私の夢は博物館で働くことだった。

学芸員の資格を取り、とある博物館の採用試験に無事合格できて、夢が叶った。

博物館の勤務はシフト制なので、閉館時間までの勤務になると純也さんよりも帰りが遅くなる。

純也さんは時間が合うと迎えに来てくれていた。

「純也さん、駐車場で待っていてくれる?」

「どうして?」

彼はいつも職員用の出入り口で待っている。そこだと他の職員の目に入り、ひやかされるのだ。
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