朝の光をあなたと感じて
赤ら顔で席を移動してきた先輩から逃げるように、腰をあげる。

飲み会は嫌いではない。ただ酔っている人との距離感がうまく取れないから、避けてしまう。

今日も二次会はパスかな。あと30分我慢したら、お開きになる。

一人では対処する自信がなかったので、友だちに助けを求めて、なんとか場の雰囲気を壊さずに乗り切った。

自宅最寄り駅の改札口を通り、ため息をこぼす。

疲れたな……。

でも、寝て起きたら、朝が来る。明日は土曜日だけど、彼は走るかな?

私はほぼ毎日散歩をしているけれど、彼とは週に何回か会わないことがある。

特に休日に会わない確率が高い。月曜日まで顔が見れないかもしれない。

朝から会えるとテンションが上がって、1日が楽しく過ごせるようになるのだけれども……こちらの都合良くいかないものだ。

二日間も会えないことを寂しく思いながら、駅前の大通りを歩いた。

裏道を通る方が家まで近いのだが、夜は危ないからと家族に禁止されている。私も人通りのない暗い道を歩くのは怖いから、言うとおりにしている。

「凛花?」

高層マンションの前を通り過ぎたとき、背後から名前を呼ばれた。
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