俺はずっと片想いを続けるだけ
やはり明日の起床時間を考えますと、①②③には出来るだけ早く私の部屋から撤退していただきたかったので、自分からお姉様に尋ねました。

「私に教えたい事とは、何でしょう?」

もしかしてと、思い当たる節はありました。

明日、私の旦那様になるクリストファー様の事です。
お姉様とクリストファー様は学園の同級生だったのです。
7歳年上の侯爵家嫡男と私の共通点と言えば、姉
のアデラインしかいません。
お姉様は何かクリストファー様の秘密を握っている様な気がしました。

「今の流行りは『白い結婚』なの」

え、クリストファー様の事じゃないの?

「それからぁ……
『俺に愛されると思うな』と
『お前を愛するつもりはない』ね」

お姉様の言葉にご機嫌なお母様が続けますが、
私にはお二人の言いたいことはわかりません。

「流行りって何ですか?」

「読んだことないのぉ、レディースノベルズぅ
 人気作はすぐ、お芝居になるのよぉ」

もう酔ってるのでしょうか、お母様の呂律が怪しくなってきています。

「グレイスは子供の頃から本を読まない子だからねぇ
 初夜の床で、旦那様が新妻に宣言するんだよ」

大叔母様まで、その事はご存じのご様子でした。


「小説の流行りって、馬鹿にするもんじゃないよ
 私の時は『何でも欲しがる義理の妹』が流行って、何処へ行っても色眼鏡で見られて、肩身が狭かった……」

大叔母様と今は亡きお祖母様は義理の姉妹なのですが、とても仲良しでしたけれど?

今でも思い出すとお辛いのか、大叔母様の握られたこぶしが震えておりました。
お年寄りの話は長くなるので、あまり熱くならないで欲しいのですが。

それにしても。

『何でも欲しがる義理の妹』って、何?
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