俺はずっと片想いを続けるだけ

戯れる天使~クリストファー

俺の話に、父はしばらく考え込んだ。

「確かに将来的には問題ないが……
 現状、お前が婚約者としてグレイス嬢を披露するのは、うーん……」

うーん、て?

「うーん……」

もう一度父は言って、せかせかと書斎を歩き回った。

「うーん、うーん」

うーんの連発だ。

「よし!お前はとりあえず、殿下のお供で留学しろ」

「嫌ですよ、グレイスを他のやつに取られます」

これからの彼女の6年間は見逃せない。

「これから伯爵家に書状を届ける
 まずは父親に話を通す
 お前が気持ち悪い男ではないと納得して貰え
 私なら、カリーナに7つ上の男から話を持って来られても、直ぐには頷けないからな」

カリーナは俺の5歳年下の妹だ。
12歳の妹に運命の相手だと言ってくる19歳の男を、父は受け入れられないらしい。

「グレイス嬢を幸せにしたいなら、仕事を疎かにするな、殿下とご一緒して将来の足場を固めろ」

「……わかりました」

それからウチにグレイスの父上で将来の義父上になられるリーヴァイス伯爵が来てくださった。

グレイスにも会いたかったし、白馬に乗って、
でっかい花束を抱えて挨拶に行きたかったのに。

(実際にはウチの馬は白馬ではないし、花を抱えて操るのは危険だけど)
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