鉄仮面御曹司が愛に目覚めたら、契約妻は一途な熱情に抗えない
どのホテルもほとんどがそうだろうけど、従業員は三交代制になっている。
 しかし支配人職は朝出勤して、特に問題が無ければ一日勤務し夕方過ぎには帰宅の途につける。
 打ち合わがある日は残業にもなるが、基本的にはシフト通りの勤務だ。
 午前中はチェックアウトのお客様対応に立ち、それが終われば事務所でメールをチェックをする。
 スタッフのシフト調整や売上の計算、精算等を午後まで続け、終わればホテル内の見回りに向かう。
 問題はないか、人間関係に困ったことはないか。このホテルの統括を任されている以上、スタッフのモチベーションを上げよりよく働いて貰えるように気を配らなければならない。
 今日も一日、日中は問題なく営業ができた。
 が、琴子さんと結婚してからはいままで話をしたことの無かったらスタッフからも、琴子さんの様子を聞かれたりする。
 ここにも、僕と琴子さんの結婚を驚きいろいろと聞きたがる男がいる。
 僕のひとつ歳上、ナイトマネージャーの坂崎だ。
「神楽坂は俺と同じで、独身貴族だと思ってたんだけどな〜」
 事務所で誰も居ないタイミングなのを良いことに、砕けた口調で接してくる。
 坂崎とは長い付き合いなので、そこは気にはしない。
 
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