夏色モノクローム
◆
「どうした、ずいぶん元気がないな」
「わかります?」
試験期間の教育学部生というのはわりと暇人だ。里央は試験の代わりにレポート提出のみの授業を多く受講しているから余計に。
今日で試験が終わる学生が約半分。里央自身も明日で終わりだ。
だから半分くらいは夏休み気分。にもかかわらず、この日の里央は不満顔だった。
「明日も試験だっていうのに、夜に変な用事ができちゃって」
「夜?」
どこの大学も浮かれた者たちが大勢いるこの時期、友人に「お願いだから!」と頭を下げられて、どうしても断れなかった。
何がというと……つまり。
「……合コン」
「わはは!」
ウケた。
でもこれはあまり嬉しくない。
「おまえ、友達いたのか!」
「なんですその寂しい認識は。いますよ。そこそこ人付き合いはできるんですから」
「変わった趣味をしてるからな。一匹狼みたいなイメージが」
「志弦さんと一緒にしないでください」
里央はぷくーと頬を膨らませる。
そもそも、志弦というひとがいるのに、合コンなんて。同年代の男の子に今さら興味が持てる気がしない。
「学生の醍醐味だなあ! いいじゃねえか、行け行け。年相応のいい男捕まえてこいよ」
「捕まえてきませんよ。どーせ、数合わせですし。私、志弦さんひとすじだし」
「まあまあ、私見を広げるのはいいことだ」
……どうして、里央の気持ちを知っていながら、上機嫌に振る舞えるのだろうか。
なんだか安心したような笑みを浮かべる志弦に対しても、ちょっとだけムッとしてしまう。
「だから。志弦さんが好きだって言ってるじゃないですか」
精一杯、ダメ押しで伝えてみたけれど、綺麗に聞こえなかったふりをされた。
「どうした、ずいぶん元気がないな」
「わかります?」
試験期間の教育学部生というのはわりと暇人だ。里央は試験の代わりにレポート提出のみの授業を多く受講しているから余計に。
今日で試験が終わる学生が約半分。里央自身も明日で終わりだ。
だから半分くらいは夏休み気分。にもかかわらず、この日の里央は不満顔だった。
「明日も試験だっていうのに、夜に変な用事ができちゃって」
「夜?」
どこの大学も浮かれた者たちが大勢いるこの時期、友人に「お願いだから!」と頭を下げられて、どうしても断れなかった。
何がというと……つまり。
「……合コン」
「わはは!」
ウケた。
でもこれはあまり嬉しくない。
「おまえ、友達いたのか!」
「なんですその寂しい認識は。いますよ。そこそこ人付き合いはできるんですから」
「変わった趣味をしてるからな。一匹狼みたいなイメージが」
「志弦さんと一緒にしないでください」
里央はぷくーと頬を膨らませる。
そもそも、志弦というひとがいるのに、合コンなんて。同年代の男の子に今さら興味が持てる気がしない。
「学生の醍醐味だなあ! いいじゃねえか、行け行け。年相応のいい男捕まえてこいよ」
「捕まえてきませんよ。どーせ、数合わせですし。私、志弦さんひとすじだし」
「まあまあ、私見を広げるのはいいことだ」
……どうして、里央の気持ちを知っていながら、上機嫌に振る舞えるのだろうか。
なんだか安心したような笑みを浮かべる志弦に対しても、ちょっとだけムッとしてしまう。
「だから。志弦さんが好きだって言ってるじゃないですか」
精一杯、ダメ押しで伝えてみたけれど、綺麗に聞こえなかったふりをされた。