夏色モノクローム
「傷口、洗えたか?」
廊下から救急箱を抱えた志弦が顔を出す。
案内されるままに彼について行くと、西側が一面大きな窓になっている広いリビングに通された。
独自に設計されたのか、部屋の中が数段の段差で区切られている、ステップダウンフロアという様式だ。奥の高いフロアをダイニング、手前の低いフロアをリビングとして区分けされている。
天井は二階までぶち抜きになっているために高く、開放感がある。モダンなシーリングファンくるくると回っていて、まるでリゾート地の別荘みたいだ。
奥にはさらに洋風の引き戸があり、もうひとつ部屋がくっついているらしい。
「そこ、座って」
予想外すぎる内装に圧倒され、おっかなびっくりしつつ革のソファーに座ると、彼はローテーブルに置いた救急箱からガーゼを取り出した。
そして、有無を言わさずぽんぽんと、里央の傷を手当てしていく。
「ありがとうございます」
「……」
無言だ。
必要以上に、里央と話してくれる気はないらしい。
でも、里央は彼がこうして世話を焼いてくれたことがとても嬉しい。だから黙ってなどいられなかった。
廊下から救急箱を抱えた志弦が顔を出す。
案内されるままに彼について行くと、西側が一面大きな窓になっている広いリビングに通された。
独自に設計されたのか、部屋の中が数段の段差で区切られている、ステップダウンフロアという様式だ。奥の高いフロアをダイニング、手前の低いフロアをリビングとして区分けされている。
天井は二階までぶち抜きになっているために高く、開放感がある。モダンなシーリングファンくるくると回っていて、まるでリゾート地の別荘みたいだ。
奥にはさらに洋風の引き戸があり、もうひとつ部屋がくっついているらしい。
「そこ、座って」
予想外すぎる内装に圧倒され、おっかなびっくりしつつ革のソファーに座ると、彼はローテーブルに置いた救急箱からガーゼを取り出した。
そして、有無を言わさずぽんぽんと、里央の傷を手当てしていく。
「ありがとうございます」
「……」
無言だ。
必要以上に、里央と話してくれる気はないらしい。
でも、里央は彼がこうして世話を焼いてくれたことがとても嬉しい。だから黙ってなどいられなかった。