センセイとわたしのただならぬ関係
「人の弱みにつけこむ奴だな。じゃ、これでどう? 期末の古文、もし欠点だったら上乗せしてやる」
「わー、それって教師としてアウトじゃないですか? でも助かる。わかりました。誰にも言いません。誓います」
古文は本当に苦手なんだよね。
次に欠点取ると、長期休みの補習確定だし。
だから、この提案は、わたしにとって、大変に魅力的なものだった。
と、ふたりでごちゃごちゃ交渉していたら、向こうから誰かがやってくる気配がした。
「ん、じゃ、頼んだぞ」
先生はわたしの頭に手をのせ、白い歯を見せてにこやかに笑い、ポンポンと軽く叩いた。
「……」
擬似壁ドンからの頭ポンポンで毒気を全部抜かれてしまった。
ちょっとしてから、はっと我にかえり、無意識に頭に手をやりながら、ギクシャクした足取りで席に戻った。