センセイとわたしのただならぬ関係
 
「人の弱みにつけこむ奴だな。じゃ、これでどう? 期末の古文、もし欠点だったら上乗せしてやる」

「わー、それって教師としてアウトじゃないですか? でも助かる。わかりました。誰にも言いません。誓います」

 古文は本当に苦手なんだよね。
 次に欠点取ると、長期休みの補習確定だし。

 だから、この提案は、わたしにとって、大変に魅力的なものだった。

 と、ふたりでごちゃごちゃ交渉していたら、向こうから誰かがやってくる気配がした。

「ん、じゃ、頼んだぞ」
 先生はわたしの頭に手をのせ、白い歯を見せてにこやかに笑い、ポンポンと軽く叩いた。

「……」
 擬似壁ドンからの頭ポンポンで毒気を全部抜かれてしまった。

 ちょっとしてから、はっと我にかえり、無意識に頭に手をやりながら、ギクシャクした足取りで席に戻った。
< 14 / 82 >

この作品をシェア

pagetop