センセイとわたしのただならぬ関係
 どっちが〝本当の津村融〟なんだろう。
 なんで、あの店で働いているんだろう。
 好奇心が泡のようにむくむくと膨れあがる。

 やっぱり、先生と直接、話したい。
〝口止め料〟のこともあるし。

 そう考えて、わたしは授業終了のチャイムとともに教壇に駆け寄った。

「先生、質問があるんですが」
 本当は質問なんてない。
 でも、生徒が自然に先生に近づく手段といえば、これしかない。

 津村先生はちらっとわたしを見て言った。

「次の授業の準備があるから、放課後でいいですか」
 わたしの秘めた目的、ちゃんと伝わったみたい。
「はい。じゃあ、職員室に行けばいいですか?」
「そうしてください」
「はい、わかりました」
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