センセイとわたしのただならぬ関係
 六限の物理は上の空(いや、いつものことだけど)で過ごして、ホームルームの後、速攻で職員室に向おうとしたところ、千春に呼び止められた。

「小春、カラオケ行こうや、どうせ暇でしょ?」
「ごめん。ほら、ツム(せん)のとこに質問に行くから」
 ツム先とは津村先生のあだ名。

「そんなに時間かかる?」
「いや、待たされるかもしれないし」

千春が不審げな目でわたしを見る。
「怪しい、なんか隠してる」
 ドキッ。
 なかなか鋭いんだよね、千春は。

「ないって。ねえ、明日なら行けるよ、カラオケ」
 千春はちょっと首を捻りながらも、それ以上の追求はしなかった。

「うーん、じゃ、明日にしてあげる」
「サンキュ」

 ごめん、千春。
 わたしは心のなかで手を合わせた。
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