センセイとわたしのただならぬ関係
「もう、そんなに焦らさないでくださいよー」

「ごめん、ごめん。ちょっと、からかいすぎたね。実は俺がやりたいことは、教師より、むしろ飲食のほうなんだよ」

「えっ、そうなんですか」

「ああ、ほら、レストランで食事をしている人って、みんな、くつろいでいて楽しそうじゃない。俺も子供のころ、レストランに連れて行ってもらうのが、ものすごく楽しみでさ。楽しみを提供する側になりたいと思っていたんだ」
「確かに、悲しいときはあまり行きませんね、レストランには」

「でも親は俺を教師にしたくてね。自分たちも教師だったから。だから子供のころから洗脳され続けたというか、教育大に入るまで、なんの疑問も感じずに、自分は教師になると思ってたんだ」

「でも、ほかにやりたいことがあるなら……」

「うちの親父、俺が小学生のとき、死んだんだよ。母は苦労して俺を育てた。だから母を失望させたくないんだ。でも自分の夢も捨てきれないし……だから、苦肉の策ってとこかな」
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